NI MAX VISAテストパネル コマンド送受信

LabVIEW基本講座 ハードウェア編13

NI MAXのVISAテストパネルを使って、計測器にコマンドを送信して、応答を受信する方法を説明します。

1.計測器をPCに接続

計測器とPCを接続します。接続後、NI MAXで計測器を確認します。

使用計測器 DMM 34461A

本ページでは、キーサイト・テクノロジー(アジレント・テクノロジー) のデジタル・マルチメータ 34461Aを使用します。

DMM 34461a

キーサイト デジタルマルチメータ(DMM) ページ
https://www.keysight.com/jp/ja/products/digital-multimeters-dmm.html

2.NI MAX 起動

NI MAXをデスクトップの「NI MAX」のアイコンまたは「すべてのプログラム」→「NI MAX」をクリックして起動してください。

NI MAX起動

NI VISA

NI MAXで計測器と通信するためには、NI VISAをインストールしておく必要があります。
​VISAは、​LabVIEWなど、​NI​の​アプリケーション​開発​環境​で​計測​器​を​制御​する​​API​です。
NI VISAをインストールする時に、NI MAXもインストールされます。

NI社サイトVISAダウンロードページ
https://www.ni.com/ja-jp/support/downloads/drivers/download.ni-visa.html

3.NI MAX VISAテストパネル起動

計測器を表示

NI MAXを起動して、「デバイスとインターフェース」を展開すると接続した計測器が表示されます。

NI MAX デバイス

表示されていない場合、計測器の設定(34461Aの場合はI/O Config)が接続したインターフェイスに設定されているか、接続ケーブルの状態を確認して、上メニューの[表示]→[更新 F5]をクリックすると、接続したデバイスの読み込みを行います。

計測器をスキャン

GPIB接続の場合、右メニューバーの「計測器をスキャン」を選択すると接続されている計測器のリソース名が現れます。

NI MAX計測器をスキャン

VISAテストパネルを開く

「デバイスとインターフェース」で表示された計測器を右クリック→「VISAテストパネルを開く」または、上部メニューバーの「VISAテストパネルを開く」を選択すると接続されている計測器のテストパネル画面が起動されます。

NI MAXテストパネル

4.設定

設定は、接続した計測器の仕様、マニュアルに従って設定してください。
テストパネルでの設定は、Configuration画面で行います。Configuration画面はテストパネル上部の[Configuration]をクリックして表示します。タブをクリックすることで、設定画面を切り替えます。

NI MAX Configuration

Configuration I/O Setting

テストパネルでの通信構成は、I/O Settingsで設定します。

DMM 34461Aの場合は、デフォルトの設定のままで通信可能です。

NI MAX I/O Setting
No項目説明
1Timeout(ms)タイムアウト。機器との送受信で処理が完了しない場合、処理を停止してタイムアウトエラーを表示する時間(ミリ秒)を入力します。
2I/O Protocol使用するI / O制御プロトコルを指定します。
3Send End On Writes送信終了を送信するか選択します。バッファの最後のバイトの転送中に終了をアサートするかどうかを指定します。
4Enable Termination Character​終端文字を受信したときに、読み取り操作を終了するかを選択します。
5Termination Character[Enable Termination Character]がONの時、終了端子として判別する文字列を選択します。
Line Feed – \n
Carriage Return – \r
Custom
6Value[Termination Character]で設定した終端文字を表示します。16進数表記。
[Custom]を選択した場合は、終端文字を入力します。
7Return Data最新の操作から返されたステータス情報を表示します。
8Refreshボタン計測器のリソース属性を更新します。
9Apply Changesボタン変更した項目(1-6)の設定を適用します。

入力した変更は、Apply Changesボタンをクリックすると変更が適用されます。 画面の値が変わっていてもApply Changesボタンをクリックするまで、設定値は変わっていないので注意しましょう。

5.コマンド送受信

コマンド送受信は[Input/Output]画面の[Basic I/O]で行います。

Basic I/O

NI MAX Basic I/O
No項目説明
1Command Selector送信するコマンドをリストから選択します。
[Select or Enter Command]で新しく入力したコマンドもリストに追加されます。
2Select or Enter Command送信するコマンド文字列を入力します。
[Command Selector]で選択した場合、選択したコマンドを表示します。
3Byte to Read受信で読み込むバイト数を入力します。
バッファのデータを全て読み込んだ場合、終了文字を受信した場合、タイムアウトになった場合は、入力したバイト数より小さい読み取り値となります。
4Writeボタンコマンド送信を実行します。
5Queryボタンコマンド送信(Write)と受信(Read)を実行します。
6Readボタン応答データの受信を実行します
7Read Status Byteボタンサービスリクエストに応じてメッセージを送信し、ステータス情報を取得します。
8Clearボタンバッファをクリアします。
9Display mode[Display Buffer]に表示する形式を選択します。
View as ASCII only : ASCII文字のみで表示します。
View mixed ASCII/hexadecimal : ASCII文字と16進文字列の混在で表示します。
View as SCII/hexadecimal : 16進文字のみで表示します
10Display Bufferコマンド送信ステータスと受信ステータスを表示します。
11Copy to Clipboard ボタン [Display Buffer]のテキストをクリップボードにコピーします。
12Clear Bufferボタン[Display Buffer]をクリアにします
13Return Data最新の操作から返されたステータス情報を表示します。

*IDN? コマンド 実行

Basic I/O画面を表示すると コマンドとして「*IDN?\n」が選択されています。
「*IDN?」は計測器の識別子(ID)を要求するコマンドです。「\n」は終端文字です。

1. Queryボタンをクリック

Queryボタン

2.受信データ表示

正常に通信が完了すると「Keysight\sTechnologies,34461A,MY53200937,A.03.02-02.40-03.02-00.52-01-01\n」(通信した機器の型番、シリアルNO)が表示されます。(\sはスペース)

IDN?

*IDN?コマンドは計測器の識別子を返すIEEE-488共通コマンドの1つです。
IEEE-488は、コンピュータと外部機器との通信規格です。主にコンピュータに計測機器を接続して制御したりデータを取得するのに用いられます。

IEEE-488共通コマンド(キーサイトWEBページ)
https://rfmw.em.keysight.com/spdhelpfiles/33500/webhelp/jp/content/__I_SCPI/IEEE-488_Subsystem.htm

NI MAXテストパネルの「Command Selector」では、 IEEE-488共通コマンドが選択できます。

Select or Enter Command

表示形式

「Display mode」で表示形式を変更できます。

View as ASCII only

ASCII文字のみで表示します。
Keysight Technologies,34461A,MY53200937,A.03.02-02.40-03.02-00.52-01-01.

View mixed ASCII/hexadecimal

ASCII文字と16進文字列の混在で表示します。
Keysight\sTechnologies,34461A,MY53200937,A.03.02-02.40-03.02-00.52-01-01\n

View as SCII/hexadecimal

16進文字のみで表示します。
4B 65 79 73 69 67 68 74 20 54 65 63 68 6E 6F 6C 6F 67 69 65 73 2C 33 34 34 36 31 41 2C 4D 59 35 33 32 30 30 39 33 37 2C 41 2E 30 33 2E 30 32 2D 30 32 2E 34 30 2D 30 33 2E 30 32 2D 30 30 2E 35 32 2D 30 31 2D 30 31 0A

34461A コマンド実行例

Keysight 34461Aを設定を操作、データの受信をコマンドで行うためには、34461Aに対応したコマンドを実行します。
コマンドは 34461Aのマニュアルに記載されています。
キーサイト社のWEBページから34461Aのマニュアルをダウンロードできます。

Keysight Truevoltシリーズ テクニカルサポート 34461A デジタルマルチメータ
https://www.keysight.com/jp/ja/support/34461A/digital-multimeter-6-5-digit-truevolt-dmm.html

Truevolt デジタル・マルチメータ 操作および サービス・ガイド(PDFマニュアル)
https://www.keysight.com/jp/ja/assets/9018-03876/service-manuals/9018-03876.pdf

READ?コマンド

「READ?」を入力してQueryボタンをクリックすると、34461Aのディスプレイに表示されている値を受信します。

READ?コマンド

SYST:ERR?コマンド

「SYST:ERR?」を入力してQueryボタンをクリックすると、34461Aのエラー情報を受信します。

SYST:ERR?コマンド

エラーなしの場合、「+0,”No error”.」を受信します。
エラーがある場合、エラーコードとメッセージを受信します。
例:「-113,”Undefined header”.」(コマンドが間違っている)

ZERO:AUTOコマンド

「ZERO:AUTO」コマンドは、オートゼロ・モードを有効または無効にします。

  • 「ZERO:AUTO ON」:有効
  • 「ZERO:AUTO OFF」:無効

スペースは「\s」と16進数文字で表示されます。

「ZERO:AUTO」コマンド を入力してWriteボタンをクリックすると、34461AのZERO AUTOのON/OFFが切り替わります。

ZERO:AUTOコマンド

「ZERO:AUTO」コマンドなど設定値を操作するコマンドは、応答の戻り値がないため、 Queryボタンをクリックすると受信データがないためタイムアウトエラーとなります。

6.通信終了

NI MAXテストパネルは、パネル右上端の[×]閉じるボタンをクリックすると閉じることが出来ます。

34461Aはテストパネルを閉じてもリモート状態「Remote」が継続されるため、手動での操作が出来ない状態となっています。

Remote
リモート状態を表す[Remote]ランプ

リモートを解除するにはShiftボタンを押します。

リモート解除
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