1.計測と測定|電気電子の基礎講座
みなさんこんにちは!
計測に必要な電気・電子の基礎講座へようこそ。
初回は、測定と計測の違い 計測とは何か
この2テーマについて学びましょう。
計測と測定の違い
まず、計測と測定は何が違うのでしょうか?
日本産業規格(JIS)のZ8103において用語の定義がされていますので、ここではそれを引用します。
計測とは、「特定の目的をもって、測定の方法及び手段を考究し、実施し、その結果を用いて所期の目的を達成させること。」
測定とは、「ある量をそれと同じ種類の量の測定単位と比較して、その量の値を実験的に得るプロセス。」
要約すると、計測とはなんらかの目的を達成するための方法を考え、考えた内容を実践し、得られた結果を用いて目的を達成させる一連の流れのことです。
対して測定は、結果の値を得るプロセスそのものを指し、計測の定義で言う「実施」に該当します。
図解すると以下の通りです。
計測とは何か
では具体的に、計測とは実際どんなことなのか、どんな行為が必要なのかを確認しましょう。
先ほどもお話ししましたが、計測は、考究、実施、達成の3段階で構成されます。
考究
まず初めに、測定のために必要な情報を明らかにしなければいけません。
一口に測定と言っても、微生物の長さを測るのと滑走路の長さを測るのでは測定の道具もコストもまったく違います。
測定結果を得て計測の目的を達成するためには、いつ、どこで、誰が、なにを、なぜ、どのように、を明らかにする必要があります。 英語で言うと、When、Where、Who、What、Why、Howです。
略して5W1Hといいます。
以下に計測における5W1Hの具体的な例を示します。
- When、明後日の出荷前に。
- Where、工場内の検査室で。
- Who、ハードウェア担当者が。
- What、インターフェースボックスの出力電圧を。
- Why、出荷する装置が正常であることを証明するために。
- How、デジタルマルチメータを用いて。
上記の例では、「装置を出荷する前に動作確認をする」という内容が明確にわかりますね。
このように、5W1Hを定義できれば、人手と時間と場所と測定機材を確保して実際に測定をすることができます。
そして、得られた測定結果が「何のため(Why)」にふさわしければ計測の目的は達成となります。
5W1Hの定義は、要件定義とほぼ同じですが、顧客要求には無い事項があり、それらを考究しなければならない場合もあります。
しかし考究するといっても、一人で考えるだけでなく、顧客や上司などの意見を聞くことも重要になってきます。
なぜならこれらを決定するには、仕事の依頼元と作業者の合意形成が必要不可欠だからです。
計測の目的を決めることで初めて測定の手法を考えることができるわけですから、5W1Hの決定は、計測にとって非常に重要なことなのです。
実施
考究して方法を決めたら、次は実施、つまり測定をします。
測定をしなければ結果は得られず、目的は達成できません。
測定に使用する機器は数限りなくありますので、それらの使用方法をここで解説することはできませんが、すべての機器に共通して言えることは、取扱説明書をよく読んで安全に使用するということです。
達成
測定が終わり、結果を得られたらそこで目的は達成でしょうか?
いいえ、違います。
たいていの場合、計測の目的を達成するためには振り返りを行わなければなりません。
一般的な計測では、得られた結果を用いて検査成績書、分析レポート、仕様書などを作成します。
測定で得られた数値は目的にふさわしいですか?
もしもふさわしくなければ、測定手法を考えなおして、再度測定が必要になるはずです。
ふさわしい数値が得られた後には、使用した工具や機材の片付けも当然必要です。
これら全てを完了させて初めて「計測の目的を達成した」と言えるでしょう。
考究・実施・達成 これら全体を含めて、計測というのです。