5.オームの法則と静電容量|電気電子の基礎講座
みなさんこんにちは!
計測に必要な電気・電子の基礎講座へようこそ。
今回は、前回の続きです。
オームの法則と静電容量についてお話します。
章の最後に前回からのまとめがあります。
それでは、始めましょう。
オームの法則
電子が動いている状態ではオームの法則を使用します。
オームの法則はご存じの方も多いとは思いますが、
電圧E[V] =電流I[A]×抵抗R[Ω]で、電流と電圧と抵抗の関係性を表したものです。
電圧は記号EまたはVで表すことが多く、単位はV(ボルト)です。
電位差と表記されることもあります。
電流は記号Iで表すことが多く、単位はA(アンペア)です。
抵抗は電流の流れにくさを示します。一般的に記号Rで表し、単位はΩ(オーム)です。
抵抗の値は物質の種類や厚さによって変動し、0~∞の範囲で必ず存在します。
余談ですが、乾燥している人間の皮膚には電圧が100Vの時、約5000Ω程度の抵抗があるそうです。
抵抗器の回路記号は昔はギザギザした記号でしたが、最近は長方形のものに変わっています。
ちなみに負の抵抗は存在せず、0Ωの抵抗は今のところ超電導しかありません。
さて、先ほどの式を参考にすると、例えば電流Iが2Aのとき、抵抗Rが3Ωであれば、抵抗の前後には6Vの電位差があらわれます。
もしも電流が0Aならば、抵抗が3Ωでも100Ωでも電位差は0Vです。
しかし、電流が0Aということは、電子の動きがとまっているということです。
章の最初で、「電子が動いている状態ではオームの法則を使用します。」といいましたが、0Aだけはオームの法則は意味がありません。
オームの法則は、電流と電圧の関係を表すことができる大変便利な公式です。
静電容量
静電容量の公式について説明します。
電子の動きがとまっている現象では静電容量の公式を使います。
電荷Q[C]=静電容量C[F]×電圧E[V]です。
静電容量とは電荷の溜めやすさを示します。一般的に記号Cで表し、単位はF(ファラッド)です。
静電容量は物質の種類と大きさに依存し、ほぼ0から1000前後の範囲で必ず存在します。
コンデンサの回路記号は、並行平板コンデンサを形にしたものです。
無極性タイプと有極性タイプは少し記号が異なります。
電荷は記号Qで表すことが多く、単位はC(クーロン)です。
静電容量のCと同じものが登場して少しややこしいですが、頑張って覚えてください。
さて、先ほどの式を参考に、例えば2Fのコンデンサに電位差が3Vあれば、電荷は6Cです。
もしこの電荷のまま、静電容量が1Fになったら、電位差は6Vになります。
ではもし静電容量が0Fだったら? 電位差は無限大になってしまいます。
しかし、現実の帯電物には面積があるので、0Fということはありえません。
よって、負、および0の静電容量は存在しないのです。
総合すると、「静電容量や電位差が大きくなるほど電荷は溜まりやすい」と言えます。
静電容量の公式は電子と電圧の関係を表すことができる、ちょっと便利な公式です。
まとめ
前回から二回に分けて、電子と電流と電圧の関係を解説しました。
以下に覚えてほしいことをまとめます。
1.電子と電流の関係
電子は電荷を持ち、電荷が移動していることを電流と言います。
2.電流と電圧の関係
オームの法則、E=IRにより抵抗に流れる電流と電圧の関係を表します。
3.電子と電圧の関係
静電容量の公式、Q=CEにより静電容量に溜まっている電荷と電圧の関係を表します。
これら3つを使えば電子と電流と電圧の関係を明らかにできます。
補足です。
現実世界では基本的にどんな物質にも、抵抗と静電容量が存在します。
つまり現実の物質には、抵抗とコンデンサが並列に存在すると思ってください。
回路理論では電池や電源は電圧源、または電流源と捉えてください。
どちらも仮想的なものですが計算を簡素化できます。
最後に
オームの法則や静電容量の公式は、くもわ、や、きはじ、で解くのをやめましょう。
くもわ、きはじ、などの覚え方は式の意味を理解せずにテストで点を取る手法です。
計測をおこなうエンジニアの皆さんは、式の意味をきちんと理解して計算するように心がけてください。
それでは、また次回の講座でお会いしましょう。