4.電子・電流・電圧|電気電子の基礎講座
みなさんこんにちは!
計測に必要な電気・電子の基礎講座へようこそ。
今回は、電子と電流、電圧の基礎についてお話します。
はじめに
電子計測器を使う全ての計測において、基礎とも言えるのが電圧・電流測定です。
私たちが測りたいと思う温度、圧力、流量などはセンサを通して、一時的に電気信号である電圧や電流に変換されます。
すなわち、電圧も電流も使わない電子計測器というものは存在しないのです。
そのため、電子計測器やセンサを使って正しい計測を行うには、電圧・電流測定に関する知識が必要となってきます。
電子と電流
電子と電流の関係について説明します。
全ての物質は元素としての性質を保つ最小単位である原子が集まってできています。
原子の内部には電子があり、電子はそれぞれがマイナスの電荷(電気エネルギー)を持っています。
さて、電気が流れる=電流が発生するためには、この電荷をもった電子が移動しなくてはなりません。
基本的に電子は原子の内部で原子核の周囲を漂っていますが、その中に一定数、自由に移動できる自由電子というものがいます。
これらが動き回ることで、俗にいう「電気が流れている状態」になるのです。
電子が約6.25×1018個集まると1C(クーロン)という単位になります。
なぜこの微妙な個数でCという単位になっているかというと、1秒間に1Aの電流が移動させる電荷量が1Cだからです。
また、電流の向きと電子の移動する向きは逆方向になります。(電流の方向は+から-ですから、電子の動きは-から+です。)
ですから非常に厳密にいえば、1秒間に-1Cが流れる電流が1Aになります。
上記の電子と電流の関係は、-1[C/s]=1[A]という式で表すことができます。
ちなみに、電子の流れと電流が逆向きなのは、+極から-極へ電気が流れると決めた後に、電子の存在が発見されたためです。
電子はマイナスの電荷をもっているため、プラスに引き寄せられるのです。
辻褄を合わせるために電子の移動する向きと電流の向きが反対になりましたが、おかげで今はとてもややこしいことになっています。
いろいろといいましたが、
1.物質には原子と電子がある。
2.電子の一部は、原子から離脱して自由に動き回ることができる。
3.この離脱した電子たちが移動することで電気が流れる。
4.電子の移動方向は、電流の向きと逆になる。
複雑な式はいったん置いて、まずはこの4点を覚えておいてください。
電子と電圧
電子と電圧について、教科書的な内容で一旦説明します。
電子が集まって1クーロンの電荷がある点から、Rメートル離れた所の電位V(ボルト)はV=K×(Q/R)になります。
公式中のKは比例定数(クーロン定数)であり、K=1/4πε0です。
電位V1の点と電位V2の点の二つの地点における、電位の差を電位差、または電圧と言い 、V1-V2ボルトで表します。
グラフからわかるように、電荷Q1クーロンがある点A、の電位は無限大ボルトです。 電荷から無限遠の電位が0Vです。
公式を使用して説明を行いましたが、点電荷というのは面積の無い仮想概念であるため、点電荷が作る静電界は学術的には重要であっても、計測エンジニアには重要ではありません。
次回からはオームの法則と静電容量の公式についての話をします。
詳しい電子と電圧の関係についても、その中でお話しします。
電子が動いている現象ではオームの法則。電子がとまっている現象では静電容量の公式を使います。
これらは計測エンジニアにとっては、極めて重要な法則です。
それではまた次回。