5Gとバーチャル技術を利用した製造業教育のDX化事業の構築
5G(第5世代高速大容量通信)とバーチャル(MR)技術を利用した製造業の人材教育プラットフォームのDX(デジタルトランスフォーメーション)事業の構築事案を紹介します。
概要
バーチャル技術を利用した製造業教育プラットフォームは、VRやMR(Mixed Reality/複合現実)の技術を使うことにより、大型の装置をバーチャルで再現して、操作を体験することができる。実地で教育することも可能であるが、遠方の顧客や新型コロナウイルスの影響により、訪問が難しい顧客に対して、実地と同質の教育を受けることができる。新型コロナウイルスの影響により対面での授業、セミナーが制限される中で、オンラインセミナーなど遠隔リモートによる教育サービスの利用が増えてきている。
DXとは
DX(Digital Transformation/デジタルトランスフォーメーション)とは、クラウド、モバイル、AI、IoTなどのデジタル技術を活用して、社会に良い影響を与える変化のこと。企業がビジネス変化に対応して、デジタル技術で製品やサービス、ビジネスモデルを変革して、新しい価値を生み出し、企業の競争優位性を確立すること。
MRとは
MR(Mixed Reality /複合現実)とは、CGで人工的に作られた仮想世界と現実世界を融合(ミックス)させる技術のことである。仮想世界と一体化している現実世界のものがあったり、実際に自分が動くことで仮想世界でも行動できたりするなど、どちらの世界も相互に影響し合うことが可能である点がVRと異なる。
背景
VR(仮想現実)やAR(拡張現実)はゲームやアニメなどのエンタテインメント用途が注目され、企業でも業務に生かしているケースが増えてきている。製造業では、工程サイクルの確認や作業ロボットの干渉などを確認するために、VRやARを利用したシミュレーションを行う企業も出てきている。
しかし、まだ限られた分野のみで、エンジニアリング教育において、MR(複合現実)を利用した教育システムは気軽に導入できず、図や動画による座学で学ぶことが一般的である。
「5Gを利用したバーチャルエンジアリング教育プラットフォーム」は、HoloLens2にロボット操作装置・操縦桿、ロボット実機をホログラム投影し、VRのロボットを操作して、体感的に学習することができる。遠隔地のリモート授業でも少数の機材セットがあれば、ロボットを操作して学ぶことができる。
5G(高速大容量通信)を使用することにより高解像度、リアルタイムでの運用が可能になる。
※「Microsoft HoloLens2」は、Microsoft社が発売しているMR(複合現実)デバイスである。
半透明ゴーグルを装着すると現実世界に3Dホログラムを見せることができる。
市場
需要
ものづくり企業が直面している経営課題を見ると、大企業では「価格競争の激化」(43.0%)と回答した企業割合が最も高く、次いで「人手不足」(41.9%)、「人材育成・能力開発が進まない」(40.9%)が続く。中小企業では、「人材育成・能力開発が進まない」(42.8%)と回答した企業割合が最も高く、「人手不足」(42.2%)、「原材料費や経費の増大」(32.1%)と続いており、企業規模に関わらず、人材育成・能力開発にも課題を感じているものづくり企業が多い状況が伺える。
ものづくり企業の経営課題(企業規模別)
これらのことからものづくり企業におけるエンジニア人材(特にIT人材)の不足が企業の成長を妨げており、人材の確保及びエンジニア教育のニーズおよび課題があることが分かる。
市場規模
国内XR(VR/AR/MR)・360°動画市場規模(事業者売上高ベース)は、5年後には11,952億円となる見込み。(矢野経済研究所調べ)そのため、教育市場でも今後は大きな市場と見込まれる。社会情勢でも5G(第5世代携帯電話サービス)の導入が進み、今後、市場規模が拡大していくと予想される。
DX化構築
5Gの高速通信網を利用してクラウドプラットフォーム上にてバーチャル教育ツール(VR、MR技術を活用)の教育プラットフォームを開発することにより、高価・大型な設備や環境がなくても、体験授業を可能とした教育を提供することができる。 自動運転等、今後のCASE革命に必要なシミュレーション技術を学び、バーチャル状態で自動運転に関連したエンジニア教育を体系立てて学ぶことで業界やデジタル技術に精通していなくてもスムーズに学ぶことができるようになる。特に目に見えない、電波や通信技術などにシミュレータを用いることにより可視化を行い、かつ、VR、MR技術を用いることにより立体的にイメージしやすい教育コンテンツを提供する。
DXイメージ
集合教育型 → オンライン
MR(複合現実)技術で遠隔地でもバーチャル機材を使った教育を仮想体験で行うことができる教育プラットフォームだあり、5G通信技術とMR技術を使うことで、遠隔地でも同時に複数人で教育できる。
従来の集合教育型
今までは各企業で各々教育を行う集合教育型が主である。
- 社屋ごとに限られた人数で教育
- 人数分の使用機材を用意するには費用が高額
- 実機での教育が不可能な場合イメージが捉えにくい
新技術によるオンライン教育
MR(複合現実)技術で遠隔地でも仮想体験を行うことができる教育プラットフォームを開発する。
- 5GとMRデバイスを使うことで、日本の遠隔地域、海外でも同時に複数で教育できる
- グローバルエンジニアの育成プラットフォームとしても活用が可能である
電波・通信技術などの可視化が難しい → バーチャル可視化教育コンテンツの開発・見える化
シミュレーション技術を導入することにより、3D上で電波や通信技術をわかりやすくイメージを可視化できる教育コンテンツを作成する。PXI解析システムにより、通信規格や機器をシミュレーションすることで、最新技術にも対応可能とする。
視化が難しい物理現象
電波・通信技術など、目に見えない物理現象は理解が難しい。
- 目に見えないのでわかりにくい
- 高度な知識がないとイメージできない
- 大規模な通信設備は高額
- 電波・通信技術は多種あるため、実験機器は準備多く必要
バーチャル可視化
VR・MR技術を導入することにより、3D上で仮想体験ができる教育コンテンツ。
- 立体的にイメージしやすい
- 電波や通信技術をわかりやすくイメージできる
- 通信機器のシミュレータで疑似的に作成することが可能
- ソフトウェアで多様な通信規格に対応可能
ロボット操作技術習得 大型・高価 → バーチャル型・安価
バーチャルで、シミュレーションすることで、必要最小限の費用で、機器の効果を体感できる。バーチャルなので劣化しない。バーチャル用機材のみの省スペース。ソフトウェアで新しい機材を作成できる。
大型・高価
実機ロボット操作技術の習得には、大型かつ高価なロボットが必要であるため、導入が難しく、導入後も維持費がかかる。
- 購入費用が高価
- 破損、劣化のメンテナンス維持費が必要
- 大型の設置施設が必要
- 運搬、組み立てに多額の費用が発生
バーチャル型・安価
バーチャルで、ロボットを再現して、シミュレーションで操作することにより、必要最小限の費用で、ロボット操作技術を習得できる。
- 機材費用が実機に比べてはるかに安価
- バーチャルなので劣化しない
- バーチャル用機材のみの省スペース
- ソフトウェアで新しい機材を作成できる