LabVIEWによるシステム一括構築とNI製品の採用で、短期間・低コスト・高保守性なインフラ整備を実現
気象データ処理設備更新・機能迫力ロおよびイブシロン打ち上げ対応設備
クライアント名・業種:宇宙航空研究開発機構(JAXA)様
導入システム・製品:気象データ処理設備/気象観測システム
ご依頼の背景
種子島宇宙センターに設置されている「気象データ処理設備」の老朽化に伴う更新と「地震観測システム」の機能追加、また、内之浦宇宙空間観測所におけるイプシロン打ち上げ対応のための「気象観測システム」新規開発のご依頼をいただき、当社でナショナルインスツルメ ンツ(NI)社の製品とNI LabVIEW を利用した開発を行うことに。こちらのケースでは、それぞれの場所に設置された気象観測センサから情報を取り込む必要がありました。
導入前の課題と当社から提供したソリューション
コンパクトで高い耐候性を実現
課題
気象センサは伝送距離が限られるケースカであります。また収容締は温度調整機能がなく夏場の温度上昇が予想されます。そのためセンサはもちろん、システム自体にもコンパクト性と高い耐候性が求められました。
ソリューション
「NIcRIO-9111」の動作温度は-40℃~70℃と幅広く、屋外の過酷な環境下でも耐えることができました。また本体がコンパクトな設計のため、屋外収容箱のスペース的な問題も解消。コンパクトさと耐候性の条件をいずれもクリアしています。
ネットワーク上からのデータ閲覧
課題
専用ネットワーク(JAXA-net)に接続したどの端末からでも任意の気象センサデータをモニタリンクできる機能を、とのご要望がありました。既存システムは本体のある気象室でのみモニタリング、データ収集が可能な状態でした。
ソリューション
LabVIEWのWebサービスを導入し、「誰でもモニタリンクできるように」というご要望を実現。ユーザはブラウザから任意の「NI CompactRIO」へアセスでき、リアルタイムで気象センサ値のモニタリグが可能となりました。
ネットワーク上からのデータ閲覧
課題
本システムはデータ収集のため停止ができず、リルタイムでモニタリンクする必要がありました。ネットワークがダウンし、システム本休から送られるデータにロスが出るのは許されないため、高い信頼性が要求されました。
ソリューション
「NI CompactRIO」は収集データをサーバヘUDP送信し、接続されたUSBメモリヘの保存も同時に行います。そのため、ネットワークの不具合発生時もスタンドアンでロギングが継続。さらに1日に1回データをFTP転送する仕様にし、データロスも回避しました。
導入効果のまとめ
整備期間の大幅短縮
1/5以下の導入コストを実現
保守性をより強化
通常、大規模なインフラ整備は期間・コストが膨大になりますが、LabVIEWによる一括構築と 「NI CompactRIO」の採用よって期間を従来の1/2以下となる約5カ月に短縮しました。これにより、コストも従来の1/5まで大幅削減。さらに気象室の管理PCから 「NI CompactRIO」のソフトウェア修正・メンテナンスが可能になり、保守性にも優れたシステムとなっています。
システム概要
- NI cRIO-9111:4 スロット NICompactRIO シャーシ
- NI cRIO-9024:Real-Time PowerPC コントローラ
- NI 9219:ユニバーサルアナログ入力モジュール 4ch
- NI 9870:RS232 シリアルモジュール、4ポート
- NI 9871:RS485 シリアルモジュール、4ポート
備考
- シャーシとコントローラは全て共通にして、保守・メンテナンス性を向上
- 設置場所ごとに気象センサは異なるため、モジュールを差し替えることで、容易にどのセンサにも 対応可能
- センサ追加に備え、予備チャンネル・スロットを設置し、拡張性を向上
- NI CompactRIO は6箇所に1台ずつ設置