M5Stack CoreS3 を活用した次世代車載データロガープラットフォームの開発

~低コスト・高拡張性を実現する車載計測ソリューション~

1. はじめに

近年、自動車、商用車、建設機械、農業機械、産業機械などの開発現場では、実証実験やフィールド評価を迅速に行うため、複数のセンサデータを同期して取得・解析できるデータロガーへのニーズが高まっています。

従来の高性能データロガーは、多機能で高精度である一方、価格やシステム規模が大きく、開発初期段階の評価やPoC(概念実証)では導入のハードルとなることが少なくありません。

ペリテックでは、このようなニーズに応えるため、M5Stack CoreS3 をベースとした低価格・高拡張性の車載データロガープラットフォームの開発を進めています。本記事では、その全体像と特長をご紹介します。

2. 開発コンセプト

本プラットフォームは、上記をコンセプトとし、実証実験、フィールド試験、評価試験、研究開発まで幅広く利用できる計測システムを目指しています。汎用マイコンモジュールである M5Stack CoreS3 を採用することで、用途に応じて構成を最適化しながら、従来のデータロガーと比べて大幅な低コスト化を実現します。

3. システム構成

プラットフォームはM5Stack CoreS3をメインコントローラとして構成され、各種センサ・インターフェースを自由に組み合わせることができます。取得データはmicroSDカードに大容量記録できるほか、USB経由でのPC接続にも対応します。電源は24V車載電源(DC/DC変換)から供給可能で、車両やフィールド機器への搭載を前提とした設計です。

対応インターフェース(例)

GPS / GNSS位置・速度・時刻(UTC)の取得。GPS アンテナ接続、RTK 対応の高精度GPSにも拡張可能
6 軸IMU(最大5台)加速度(3 軸)・角速度(3 軸)。I²C 接続により複数箇所の同時計測に対応
アナログ入力(最大8ch)電圧・温度・各種センサ信号の取込み
パルス入力(最大8ch)回転数・流量・エンコーダ等のカウンタ計測
デジタル入力(最大16ch)スイッチ信号・ステータス信号の取込み(GPIO)
CAN / CAN FD車両CANデータ・ECU情報の取得
Ethernet高速データ通信、カメラ等の接続
Wi-Fi / Bluetoothデータ通信、設定・モニタリング

主な取得データ

本プラットフォームでは、位置情報(緯度・経度)、速度、時刻(UTC)、走行軌跡、加速度(3軸)、角速度(3軸)、回転数(パルス)、電圧・温度、デジタル信号、CANデータなどを同一時刻で同期取得できます。取得データはCSV形式で保存できるほか、解析ソフトウェアとの連携も可能です。

4. PCモニタリングソフトウェア

ペリテックでは、ハードウェアだけでなく、Windows PC向けモニタリングソフトウェアも自社開発しています。リアルタイムで取得データを表示し、測定状況をその場で確認できるため、試験効率の向上に貢献します。

主な機能

  • 地図上への位置情報リアルタイム表示(走行軌跡)
  • 各種センサ値のリアルタイム表示(数値・時系列グラフ、複数チャンネル同時表示)
  • CANデータのモニタリング・記録
  • 測定開始/停止、設定変更
  • イベントマーキング、アラーム表示
  • CSVデータ保存、GPX/KML出力、データ読込み・再生
  • データ解析、試験レポート作成

開発言語はLabVIEWをはじめ、C#、Pythonなど、お客様の運用環境に応じたソフトウェア開発に対応しています。

5. 拡張性を考慮した設計

評価内容はプロジェクトごとに異なるため、本プラットフォームは拡張性を重視した設計としています。以下のようなオプション機能の追加に柔軟に対応できます。

  • CAN FD・OBD-II対応、Ethernet通信
  • LTE通信によるリモートデータ収集
  • カメラ入力による画像・映像記録
  • 高精度GPS(RTK対応)による測位精度向上
  • アナログ入力・デジタル出力の増設、外部ストレージ
  • クラウド連携、Webダッシュボード
  • AIによる異常検知・予測解析

6. ペリテックの強み― ワンストップ対応

ペリテックは 40 年以上にわたり、試験・計測システムインテグレーションを提供してきました。本プラットフォームも単なるデータロガーの提供にとどまらず、以下の一連のプロセスを一貫して対応します。

①要求仕様の整理計測要件のヒアリング・コンサルティング
②ハードウェア設計センサ・機器の選定、試作・製造
③組込みソフト開発ファームウェア、デバイスドライバ開発
④PCソフト開発モニタリング・解析・可視化アプリケーション
(LabVIEW/C#/Python)
⑤試験・評価支援試験設備との連携、データ解析支援
⑥量産展開試作・PoC で構築したシステムを本格的な評価設備・量産検査システムへ発展

試作段階で得られた知見をそのまま本格運用へつなげられることが、SIer であるペリテックならではの強みです。

7. 想定される活用分野

本プラットフォームは、自動車開発(EV/HEV を含む)、商用車評価、建設機械、農業機械、産業機械のほか、モータ・ファン・アクチュエータ評価、振動・騒音評価、環境試験、フィールドデータ収集、大学・研究機関での研究開発など、幅広い分野での活用を想定しています。

ペリテックでは、本プラットフォームをベースに、CAN/CAN FD 対応モデル、Ethernet 対応モデル、クラウド対応モデル、AI 解析対応モデルなど、用途に応じたラインアップの充実を進めていく予定です。

お問い合わせ

M5Stack CoreS3 を活用した車載データロガープラットフォームは、低コストでありながら高い拡張性を備えた新しい試験・計測ソリューションです。

車載計測・フィールド計測に関するご相談は、ぜひペリテックまでお問い合わせください。

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