オシロスコープを活用したLabVIEW自動計測システム開発

~パワーデバイス・バッテリー・BMS・モーター評価を支える試験・計測ソリューション~
1. はじめに
電動化(xEV)の加速、再生可能エネルギーの普及、そして次世代半導体技術の進化に伴い、電子機器やパワーエレクトロニクスを取り巻く評価環境は劇的な変化を迎えています。
特に近年では、以下のような最先端分野において、従来よりもはるかに高度な測定技術と効率的な自動試験環境が必須となっています。
- 次世代パワーデバイス(SiC:炭化ケイ素/GaN:窒化ガリウム)
- リチウムイオンバッテリー
- BMS(Battery Management System)
- EVインバータおよびモーター制御システム
これらの評価・開発プロセスにおいて、単にオシロスコープで波形を「観測」するだけでなく、LabVIEW を活用した自動計測システムを構築することが、開発期間の短縮と信頼性向上のための重要なカギを握っています。

2. オシロスコープの役割は「観測」から「評価システム」へ
従来、オシロスコープはエンジニアが机上で電気信号の波形をリアルタイムに確認するための「スタンドアロンの計測器」として利用されてきました。しかし、現代の複雑化した評価現場では、その役割は「評価システムの一部(コンポーネント)」へとシフトしています。
現在、オシロスコープを組み込んだ自動計測システムには、以下のような一連のプロセスをシームレスに実行することが求められます。

これに伴い、オシロスコープを選定する基準も変化しています。従来の「帯域幅」「サンプリングレート」「チャネル数」といった基本性能に加え、システムへの適合性を左右する以下の要素が極めて重要視されています。

- LAN接続性・通信安定性
- SCPI(Standard Commands for Programmable Instruments)によるリモート制御性
- 波形データのバックプレーン転送・取得速度
- 外部ソフトウェアとの親和性
3. 主要オシロスコープメーカーの動向
試験・計測分野において、自動計測システムへ組み込まれる代表的なオシロスコープメーカーは以下の通りです。各社ともに優れたリモート制御機能を備えており、LabVIEW との連携によって高度な自動化を実現できます。
| メーカー名 | 主な特徴と強み |
|---|---|
| Yokogawa Test & Measurement | 電力測定や高精度波形観測に強み。電気信号と物理量の一体解析に優れる。 |
| Tektronix | 高帯域・多チャネルモデルが豊富。パワー半導体評価用のアタッチメントや解析ソフトが充実。 |
| Keysight Technologies | 汎用から超高周波まで幅広いラインナップ。優れたソフトウェア連携と高速データ転送が特徴。 |
| Rohde & Schwarz | 低ノイズフロアと高垂直分解能を誇り、微小な信号変化やノイズ解析に威力を発揮。 |
4. LabVIEW による自動計測システム化のメリット

LabVIEW は、計測・制御システム開発において世界的なデファクトスタンダードとなっているグラフィカルプログラミング環境です。オシロスコープをLabVIEWと組み合わせることで、主に3つの大きなメリットが生まれます。
①計測器のマルチベンダー統合制御
オシロスコープだけでなく、デジタルマルチメータ(DMM)、直流・交流電源、電子負荷装置、任意波形発生器(AWG)、スイッチシステムなど、メーカーが異なる複数の計測器を単一のアプリケーション上で一括制御できます。
②試験の完全自動化
長時間におよぶ耐久評価、繰り返し試験、環境試験(恒温槽連携による温度ストレス試験)などを無人で実行可能です。ヒューマンエラーを排除し、夜間や休日も試験を継続できるため、限られた開発期間を最大限に活用できます。
③データ活用の効率化とトレーサビリティの確保
取得した膨大な波形データや測定結果は、CSVやExcel、あるいは SQL データベースへ自動で保存・集計されます。合否判定の自動化に加え、データのトレーサビリティ向上にも直結します。
5. アプリケーション別・評価システムの構築ポイント
パワーデバイス評価(SiC/GaN)
主な評価項目
Vgs(ゲート電圧)、Vds(ドレイン電圧)、ドレイン電流、スイッチング損失、dv/dt、di/dt、オーバーシュート、リンギング
システムの役割
高帯域・多チャネルオシロスコープを制御し、ノイズに埋もれがちな微小な過渡現象を高精度にキャプチャ・自動解析します。
EV のインバータや高効率電源に不可欠な次世代パワー半導体の評価では、ナノ秒オーダーの高速なスイッチング現象を捉える必要があります。
電源評価システム(DC-DCコンバータなど)
主な評価項目
出力リップルノイズ、過渡応答特性、電力変換効率、起動特性、負荷変動特性
システムの役割
LabVIEWによって電源と電子負荷を同期制御しながらオシロスコープで波形を取得し、特性マップの作成からレポート生成までを全自動化します。
バッテリー評価システム
主な評価項目
充放電特性、内部抵抗(AC-IR/DC-IR)、サイクル劣化試験、温度特性評価、パルス応答評価
システムの役割
急激な負荷変動時の電圧ドロップや回復特性をオシロスコープで高速に捕捉しつつ、長期間のデータロギングはLabVIEWで統括管理します。
BMS(Battery Management System)評価
主な評価項目
各セル電圧、電流検出信号、温度センサ信号、CAN/SPIなどの車載通信データ、PWM制御信号
システムの役割
多チャネルオシロスコープとデジタル通信モジュールを組み合わせ、BMSが異常を検知した際の保護動作アルゴリズムをリアルタイムに検証します。
モーター・インバータ評価
主な評価項目
三相電圧・電流、PWM駆動波形、モーター回転数、トルク特性、総合効率
システムの役割
複数チャネルの同期観測が必須となるため、多チャネルオシロスコープとモータ試験機をLabVIEWで連携させ、ダイナミックな負荷変化時の挙動を網羅的に解析します。
6. PXIプラットフォームとオシロスコープの連携による高度化
さらに高度で柔軟な試験環境を構築する場合、PXI(PCI eXtensions for Instrumentation)プラットフォームとベンチトップ(据え置き型)オシロスコープを組み合わせる構成が非常に有効です。

役割分担の最適化:
PXI モジュール:直流的な高精度電圧・電流測定(SMU/DMM)、各種疑似信号の生成(AWG)、状態制御(DIO)、マトリクス切替(Switch)を担当。
外部オシロスコープ:PXI 側だけでは捉えきれない、高周波の高速波形観測や過渡現象の解析、一発性の異常ノイズ検出を担当。
この「PXI+オシロスコープ」の協調により、ハードウェアの能力を最大限に引き出した、極めて柔軟で拡張性の高い自動試験システムが実現します。
7. ペリテックの強み:試験・計測システムインテグレーション

株式会社ペリテックは、試験・計測システムのインテグレータとして、40 年以上にわたりお客様の研究開発や製品評価の現場をサポートし続けてきました。
マルチベンダー対応による最適提案
ペリテックの最大の強みは、特定の計測器メーカーに依存しない「マルチベンダー」の姿勢です。Yokogawa、Tektronix、Keysight、Rohde & Schwarz をはじめとする各社のオシロスコープや、NI(National Instruments)製の PXI システム、電源、電子負荷などを自由に組み合わせ、お客様の目的と予算に最も合致したシステムをゼロから設計します。
設計から保守までワンストップ対応
LabVIEW による高度なソフトウェア開発技術をコアに、以下のプロセスをすべて自社で一貫対応(ワンストップ提供)いたします。
- 要求仕様の整理・コンサルティング
- システム基本設計およびハードウェア選定
- LabVIEWによるアプリケーション開発
- ハードウェアの組み込み・配線・ラック組立て
- 現地立ち上げ調整・オペレーショントレーニング
- 導入後の保守・アップデートサポート
これまでに、パワーデバイス評価、バッテリー・BMS 評価、モーター・インバータ評価、半導体試験といった最先端かつ難易度の高い分野において、数多くのシステム構築実績を積み重ねています。
お問い合わせ
ペリテックは、長年培った計測システム開発のノウハウと、確かなLabVIEW技術をもって、お客様の評価業務の効率化と品質向上に貢献します。試験・計測システムの自動化やリプレイスをご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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