太陽光発電設備を支える計測・監視・制御システム
NI CompactRIOと LabVIEWによる発電設備の統合監視

太陽光発電設備では、発電量を確認するだけでなく、パワーコンディショナー(PCS)、受変電設備、気象観測機器、電力量計など、さまざまな設備の状態を継続的に監視する必要があります。
さらに、異常発生時には迅速に警報を発し、必要に応じて設備を制御するとともに、計測データを蓄積して運用状況を分析できる仕組みが求められます。
ペリテックでは、こうした発電設備に対して、NI CompactRIOとLabVIEWを組み合わせた計測・監視・制御システムを構築しています。
1. 太陽光発電監視システムとは

太陽光発電監視システムは、発電設備から収集した情報を一元管理し、発電所の運転状態をリアルタイムに把握するためのシステムです。
主な監視対象には、以下のようなものがあります。
- PCSの運転・停止・待機・故障状態
- 発電電力・発電電力量
- 電圧・電流・力率・周波数
- 日射量
- 気温・湿度
- 風速・風向
- 受変電設備の状態
- 電力量計
- 太陽電池ストリングの状態
太陽光発電設備では、単純に「何 kW発電しているか」を見るだけではなく、発電量と設備状態を関連付けて監視することが重要です。
そのため、計測、通信、状態監視、警報、制御、データ保存を一つのシステムとして統合します。
2. NI CompactRIOを利用した現場データ収集

発電所側の計測・制御には、NI CompactRIOを利用できます。CompactRIOは、リアルタイムプロセッサ、FPGA、モジュール式 I/Oを組み合わせた組み込み型の計測・制御プラットフォームです。NIは、CompactRIOを工業監視、状態監視、機械制御などの用途に適したプラットフォームとして位置付けています。
今回のシステムでは、発電所側にCompactRIOコントローラを配置し、さらにEtherCAT拡張シャーシと複数のI/Oモジュールを組み合わせています。
納品構成として確認できる主なI/O構成は、以下のとおりです。
- CompactRIOコントローラ(リアルタイムプロセッサ+FPGA搭載)
- EtherCAT拡張シャーシ
- アナログ入力モジュール
- デジタル入力モジュール(パルス・接点信号対応)
- リレー出力モジュール
これにより、現場のアナログ信号、デジタル信号、パルス・接点信号などをシステムへ取り込むことができます。
CompactRIOコントローラは、FPGAとリアルタイムプロセッサを搭載した8スロット構成で、産業用途を想定した堅牢な組み込みコントローラです。
3. 「計測」だけではなく「制御」まで行う
太陽光発電所の監視システムで重要なのは、データを見るだけで終わらないことです。
システムでは、設備の状態を監視しながら、必要に応じて制御信号を出力します。例えば、PCS については次の状態を監視し、必要に応じて運転/待機を制御します。
- 運転
- 待機
- 停止
- 故障
また、受変電設備のVCBについても、遠方操作が許可された状態であれば、監視画面から投入/開放操作を行える構成としています。
センサ・設備 → I/O → CompactRIO → リアルタイム処理・状態判定 → 監視PC →
オペレータによる監視・制御
CompactRIOは、リアルタイムプロセッサとFPGAを組み合わせることで、監視だけでなくリアルタイム制御やハードウェアベースの処理にも対応できます。
4. LabVIEWによる監視・操作画面


現場のデータを収集するだけでは、設備運用には十分ではありません。
ペリテックでは、NI LabVIEWを利用して、収集した情報をオペレータが直感的に確認できる監視画面へ統合します。監視画面では、以下のような情報を確認できます。
- 発電所全体の状態
- PCSごとの状態
- 計測値
- 故障・待機状態
- 警報
- 警報履歴
- トレンドグラフ
- 発電量
- 日報・月報
実際のシステムでも、PCS1~PCS4を個別に表示し、それぞれの計測データや運転状態、故障・待機履歴を確認できる構成になっています。
また、アナログ信号やPCS計測データについて、トレンドグラフによる時系列監視も可能です。
5. 異常を「見る」から「知らせる」へ
発電所では、異常を見つけるだけではなく、確実に担当者へ知らせることが重要です。
システムでは、故障や待機状態が発生すると監視画面に警報メッセージを表示し、警報盤にも信号を出力します。これにより、以下のような異常通知の流れを構築できます。
設備異常 → CompactRIO/I/Oで検出 → 監視システムへ通知 → 画面表示 →
警報盤のランプ・ブザー
さらに、警報の発生・復旧履歴を保存することで、後から設備の状態変化を確認することも可能です。
6. 発電データを蓄積し、運用に活用
発電設備では、現在値を見るだけでなく、過去のデータを蓄積することが重要です。例えば、以下のようなデータを保存することで、発電設備の運用状況を長期的に分析できます。
- 日別発電量
- 月別発電量
- PCSごとの発電量
- 気象データ
- 設備状態
- 故障履歴
- ストリングデータ
実際のシステムでは、日報、月報、PCS計測データ、PCSステータス、I/Oデータ、ストリングデータなどを分けて保存する構成になっています。
7. 太陽光発電では「気象」と「発電量」の関係も重要
太陽光発電では、発電量が日射量や気温などの気象条件に大きく影響されます。
そのため、発電量だけではなく、次の情報を関連付けて記録することで、発電設備の状態をより正確に把握できます。
日射量 → 気温 → 湿度 → 風速・風向 → 積雪 → 発電量
監視画面では、日射量、気温、湿度、風速、風向、電力、電圧、電流、力率、周波数などの情報を扱っています。
8. 見学者向け情報表示にも対応
太陽光発電所では、設備を管理するだけでなく、再生可能エネルギーについて一般の方に知ってもらうことも重要です。
そのため、監視システムと連携した「見学ボード」を構築することで、以下のような情報を表示できます。
- 現在の発電量
- 本日の発電電力量
- 世帯相当の発電量
- 太陽光発電の仕組み
- 設備仕様
- パネル種類による発電量比較
- 設置角度による発電量比較
- 冬季の発電状況
- 積雪状況
これにより、設備監視システムと環境・教育向けの情報公開システムを一体化できます。
9. ペリテックが提供する「計測×制御×ソフトウェア」
太陽光発電監視システムでは、単一の製品だけではシステムを完成させることはできません。必要なのは、次の流れを一つのシステムとして設計することです。
現場設備 → センサ・信号 → I/O → 計測・制御コントローラ → 通信 →
監視ソフトウェア → データ保存 → 警報・制御 → 帳票・分析
ペリテックは、NI LabVIEWをはじめとする計測・制御技術と、CompactRIOなどのNIプラットフォームを組み合わせ、お客様の設備に合わせた計測・監視・制御システムを構築するシステムインテグレーターです。
NIのCompactRIOは、リアルタイムプロセッサ、FPGA、モジュール式I/Oを統合できるため、一般的なデータ収集だけでなく、リアルタイム制御、状態監視、エッジ処理などにも適しています。
10. 最後に
太陽光発電設備の監視では、単に「発電量を表示する」だけではなく、次の流れを一つの仕組みとして構築することが重要です。
- 計測
- 日射量・気温・風速、電圧・電流・周波数などのアナログ・デジタル信号を収集します
- 状態監視
- 各種計測値の表示や受変電設備の状態をリアルタイムで監視します
- 警報
- 異常を検知し、画面表示の色変化や警報盤のランプ・ブザーで通知します
- 制御
- PCS・VCBを遠隔で制御し、安全な運用をサポートします
- データ保存・分析
- 日報・月報の自動作成によりデータを蓄積し、運用改善に活用
ペリテックでは、NI CompactRIO+LabVIEW+各種I/O+設備通信を組み合わせることで、発電設備に合わせた柔軟な監視・制御システムを構築できます。
太陽光発電に限らず、工場設備、エネルギー設備、研究設備、試験設備など、「現場のデータを収集し、判断し、必要な制御まで行う」システムに応用可能です。
技術資料 ダウンロード
本記事の技術資料は以下のボタンより無料でダウンロードが可能です。

