NI Connect 2026 Day2 クロージングキーノート レポート

NI Connect 2026 の2日目(5月14日)、クロージングキーノートが開催されました。今年の NI Connect は NI創立50周年、LabVIEW 40周年という節目の年に開催された特別な回でもあります。

Day 1 が AI プラットフォームの技術発表(Nigel AI 拡張・LabVIEW+ Suite 2026)を中心に据えていたのに対し、Day 2 は宇宙・自動車・エネルギー・防衛という異なる産業の最前線で NI テクノロジーを活用しているリーダー企業が一堂に会し、テストを「コスト部門」から「ビジネスの競争優位」へ変革するリアルな実践例を共有するセッションとなりました。

NIアライアンスパートナーとして30年近くの実績を持つ株式会社ペリテックとして、Day 2 の多様な事例はテスト&計測エンジニアリングの適用範囲の広さと、プラットフォーム戦略の有効性を改めて示す内容でした。

全体テーマ:「モダンなテスト組織における生産性の再定義」

Day 2 のキーノートは、Emerson T&M の VP Global Sales, Marketing & Post-Sales Services、Luke Schreier氏が進行役として幕を開けました。NI プラットフォームが実現するオープンソフトウェア・モジュラーハードウェア・データアナリティクス・エコシステムの可能性を提示し、AIをツールではなく「チームメイト・信頼できるパートナー」として活用する視点を強調しました。

「AI is moving quickly, but it must be built to last.」
(AIは急速に進化しているが、それは持続可能なものでなければならない)

— Luke Schreier, VP Global Sales &Marketing, Emerson T&M;

また、Nigel AI の進化ロードマップとして「Advisor(助言)→ Author(生成)→Agent(自律実行)」という3段階が示され、エージェント型 AI(Agentic AI)はエンジニアを置き換えるものではなく、エンジニアの可能性を拡張するものであると明言されました。

Day 2 の登壇企業・登壇者は以下の4社です。

企業登壇者役職
PLD spacePablo GallegoVice President
ValeoVit NerudaSystem Validation Manager
ZAP EnergyMarvi Matos RodriguezSVP of Technology
Cyth SystemsJoe SpinozziCEO
Lockheed MartinNicole LokeyDirector of Integration, Test, and Evaluation

登壇事例①:PLD Space — 再利用ロケット開発をNIで加速

PLD Space はスペイン・エルチェを拠点とする民間宇宙企業。小型衛星打ち上げ向けの再利用可能ロケット「MIURA5」の開発を進めており、2026年の初飛行試験を目標としています。450名超のエンジニアがエルチェ・テルエル・クールー(仏領ギアナ)・ドゥクム(オマーン)の各拠点で開発・製造・試験を行っています。2026年には欧州投資銀行(EIB)から3,000万ユーロの融資も獲得しました。

Pablo Gallego 副社長が紹介したのは、標準化・スケーラブルな地上試験システムの構築によるロケット開発加速の事例です。ロケット開発では「一度の打ち上げですべてが機能しなければならない」という極めて高い信頼性が求められる一方、民間宇宙企業としての開発スピードも欠かせません。

PLD Space は NI の LabVIEW・CompactRIO・CompactDAQ・PXI を中核とした統合テスト基盤を採用。構造・アビオニクス・エンジンなどロケットのサブシステムを少数の精鋭エンジニアチームで効率よく検証できる体制を実現しています。テスト能力の追加・変更を「数日・数時間以内」で行えるスピードが競合他社との差別化の核心として紹介されました。

登壇事例②:Valeo — ADASバリデーションのサイロを壊す

Valeo はフランスに本社を置く世界的な自動車 Tier 1 サプライヤー。カメラ・レーダー・LiDAR センサーから ADASソフトウェアまでを一貫提供し、電動化・自動運転・スマートコネクティビティ領域でグローバルに展開しています。NI Connect には過去にも登壇実績があり、NI との長年の協業関係が続いています。

System Validation Manager の Vit Neruda氏が紹介したテーマは、「テスト環境のサイロを崩し、大規模で持続可能な生産性を構築する」ことです。Valeo のADAS 検証プロセスは以下の3層構造で設計されています。

第1層:制御環境での検証HIL(Hardware-in-the-Loop)環境での完全制御・決定論的な検証。NI PXIプラットフォームと RDMAテクノロジーを組み合わせ、標準化・高性能・高精度を実現。
第2層:実路走行データ収集オープンロードでのシステム性能統計収集。NIのデータロギング・リプレイシステムで効率化。
第3層:AIによる合成データ生成前2層でカバーしきれないシナリオを AIが合成データで補完。継続的なカバレッジ拡大を実現。

データを「血流」として開発フェーズ全体に流通させるアーキテクチャが、テストサイロ解体と持続的な生産性向上の実現を支えています。NI との共同開発による3世代の HIL アーキテクチャの進化が紹介されました。

登壇事例③:ZAP Energy + Cyth Systems — 核融合炉をNIで制御

ZAP Energy はワシントン州シアトルを拠点とする核融合スタートアップ。磁石不要のコンパクトな Zピンチ方式の核融合炉を開発しており、2026年には TIME 誌「アメリカのトップグリーンテック企業 2026」に16位でランクイン(核融合分野1位)。核融合と小型核分裂を並行開発する初の企業としても注目されています。

SVP of Technology の Marvi Matos Rodriguez 氏(ZAP Energy)と、NIパートナー企業 Cyth Systems の Joe Spinozzi CEO が共同で登壇。ZAP Energy の核融合実験装置「FuZE-3」での NIテクノロジー活用事例を紹介しました。

FuZE-3 は電子圧力 830 MPa(総圧力 1.6 GPa、地球深部に匹敵する超高圧)のプラズマ生成に成功しており、こうした極限環境での高精度計測・リアルタイム制御・再現性ある実験環境の構築にNIプラットフォームが採用されています。Cyth Systems が NI システムインテグレーターとして試験システム全体を設計・構築し、最先端のエネルギー研究を支えているという事例は、NIパートナーエコシステムの実力を示すものとして大きな注目を集めました。

登壇事例④:Lockheed Martin — 防衛・宇宙テストを差別化要因へ

Lockheed Martin は米国最大の防衛・宇宙企業です。Orion 宇宙船(Artemis 計画)、F-35戦闘機、極超音速防衛システム「Pitch Black」など、高信頼性・ミッションクリティカルな製品開発においてNIプラットフォームを長年活用してきました。

Director of Integration, Test, and Evaluation の Nicole Lokey 氏が共有したのは、テストを「コストセンター」ではなく「競争優位の源泉」として戦略的に位置づけるアプローチです。

プラットフォームベースのテストアーキテクチャを採用することで、テストシステムの再利用性・スケーラビリティを確保しながら厳格な信頼性・安全性要件をクリアし、コネクテッドエコシステムによって組織横断でのテスト知見の共有を実現。製品開発全体のスピードと品質が向上するというアプローチは、Day 1 で発表された NIプラットフォームの三層構造(ハードウェア・ソフトウェア・データ基盤)と深く呼応する内容でした。

ペリテックとしての注目点

PLD Space — 宇宙・航空分野への展開

LabVIEW / CompactRIO / PXI を活用した標準化テスト基盤は、ペリテックが国内で支援する航空宇宙・防衛関連システム開発にも直接参考になる事例です。「数日→数時間」での構成変更は提案力強化にも直結します。

Valeoの3層検証モデルの汎用性

「制御環境 → 実環境 → AI合成データ」という3層フレームワークは、自動車に限らず半導体・産業機器・電池BMSなど複雑システムの検証設計全般に応用できる思想です。

ZAP Energy × Cyth Systemsのビジネスモデル

Cyth Systems が先端スタートアップの ZAP Energy と組んで主要カンファレンスに登壇した点は、ペリテックが新興テクノロジー企業と協業する際のロールモデルとして注目に値します。

Lockheed Martinの「テスト=競争優位」

「テストをビジネス差別化要因へ」というフレームは、ペリテックがお客様へ提案する際の上位概念としての価値訴求に活用できます。

レポートのまとめ

NI 創立50周年・LabVIEW 40周年という節目に開催された NI Connect 2026。Day 2 のクロージングキーノートは、宇宙・自動車・エネルギー・防衛という異なる産業を横断して、「プラットフォームベースのテストアプローチがいかにビジネスの競争優位を生むか」を具体的に示した充実したセッションでした。

Day 1 の AI・製品発表(Nigel AI の Advisor → Author → Agent への進化、LabVIEW+ Suite 2026)とDay 2の実践事例群を合わせると、NI Connect 2026 全体として「AI対応テスト自動化プラットフォームの本格始動」という一貫したメッセージが浮かび上がります。

株式会社ペリテックは NIアライアンスパートナーとして30年近く、こうした最新技術をいち早くお客様のシステムへ届けられるよう、継続的にキャッチアップしてまいります。

参考リンク