プログラミングコース09 ー半導体向けDC計測:オープンショート・リーク試験ー

プログラム課題

背景

あなたはプログラマです。一緒にプロジェクトに参加している先輩エンジニアから「オープンショート・リーク試験プログラム」を製作するよう頼まれました。プログラミングの前段階で用意できているものは、システム構成、要求機能のリストの2つです。

システム構成

要求機能

検査対象部品としてCMOS ICを使用し、オープンショート試験とリーク試験を行うプログラムを作成する。

プログラミングの実践

プログラミング講座09 サンプルVIをダウンロード

用語

SMU(Source Measure Unit)

ソースメジャーユニット(SMU)は、高精度に電圧/電流を供給すると同時に電圧/電流を測定できます。

NI PXI-4130 SMU Specification

ChannelOutput FunctionRangeResolution
ch0Voltage+6V0.12mV
Current1A0.02mA
ch1Voltage±20V 0.33mV
±6V 0.1mV
Current2A100μA
200mA10μA
20mA1μA
2mA100nA
200μA10nA

STEP1:オープンショート試験の方法を理解する

CMOS半導体の信号ピンには、Vcc側とGND側に保護ダイオードが接続されています。このダイオードの正常動作(オープン状態でないこと、ショート状態でないこと)の確認をオープンショート試験といいます。

Vcc側 保護ダイオードのオープンショート試験 (例)
  • SMUのプラスを試験対象ピンに接続します。
  • それ以外の信号ピン及びVccとGNDをSMUのマイナスに接続します。
  • SMUから100μAの電流を流します。
  • 正常であれば100μAの電流が流れ、通常0.6V程度の電圧が計測されます。
  • オープン状態であれば、電流は流れません。
  • ショート状態であれば、電圧が0Vに近い値になります。
GND側 保護ダイオードのオープンショート試験 (例)
  • SMUのプラスを試験対象ピンに接続します。
  • それ以外の信号ピン及びVccとGNDをSMUのマイナスに接続します。
  • SMUから-100μAの電流を流します。
  • 正常であれば-100μAの電流が流れ、通常-0.6V程度の電圧が計測されます。
  • オープン状態であれば電流は流れません。
  • ショート状態であれば電圧が0Vに近い値になります。

STEP2:オープンショート試験:
サンプルプログラムを検索する

DCPOWERでサンプルを検索する。

NI-DCPower Source DC Current.viのダイアグラム
動画:オープンショート試験:サンプルプログラムを検索する

STEP3:オープンショート試験:
検査プログラムを作成する

  1. 電流レベルオートレンジと電圧リミットオートレンジを追加する。
  2. 電流レベルをVccとGNDで処理を分けてそれぞれ100μAと-100μAにする。
  3. 電圧制限と電圧制限レンジを3Vの定数に変更する。
  4. 電流レベルレンジを100μAの定数に変更する。
  5. 計測の前に20msecの待ち時間を入れておく。
  6. 計測した電流値を1000000倍してμAにする。
  7. 最後にDCPOWER ResetとCloseを実行する。
オープンショート試験.viのダイアグラム

STEP4:発光側順電圧:
検査プログラムを実行する

PXI-4130にブレッドボードを使用して素子を接続し、検査プログラムを実行してみましょう。

動画:発光側順電圧:検査プログラムを実行する①
動画:発光側順電圧:検査プログラムを実行する②
動画動画:発光側順電圧:検査プログラムを実行する③

STEP5:リーク試験の方法を理解する

CMOS半導体のリーク試験は、電子回路上で本来絶縁されている部分から漏れ出す電流(リーク電流)を計測して、規格値の範囲内であることを確認する試験をいいます。

入力電流 Vin = Vcc のリーク電流計測 (例)
  • SMU ch0をVccとGNDに接続します。
  • SMU ch1を試験対象ピンとGNDに接続します。
  • その他の入力ピンをすべてGNDに接続します。
  • SMU ch0から6Vを供給します。
  • SMU ch1から6Vを供給します。
  • SMU ch1の電流を計測して規格値と比較します。
入力電流 Vin = GND のリーク電流計測 (例)
  • SMU ch0をVccとGNDに接続します。
  • SMU ch1を試験対象ピンとGNDに接続します。
  • その他の入力ピンをすべてGNDに接続します。
  • SMU ch0から6Vを供給します。
  • SMU ch1から0Vを供給します。
  • SMU ch1の電流を計測して規格値と比較します。

STEP6:リーク試験:検査プログラムを作成する

  • ch0をDC電圧に指定し、電圧レベルと電圧レベルレンジを6Vに指定する。
  • ch0、電流制限及び電流制限レンジを20mAに指定する。
  • ch1 をDC電圧に指定し、電圧レベルと電圧レベルレンジを6Vに指定する。
  • ch1、電流制限及び電流制限レンジを200μAに指定する。
  • Forループを追加し20msecの待ち時間を入れてch1の電流を5回計測する。ch0 の正常動作も合わせて確認しておく。
  • ch1の電圧レベルを0Vに変更する。
  • Forループを追加し20msecの待ち時間を入れてch1の電流を5回計測する。ch0 の正常動作も合わせて確認しておく。
  • 計測電流値を1000000倍してμAにする。
  • 最後にDCPOWER ResetとCloseを実行する。
リーク試験.viのダイアグラム
動画:リーク試験:検査プログラムを作成する

STEP7:リーク試験:検査プログラムを実行する

PXI-4130にブレッドボードを使用して素子を接続し、検査プログラムを実行してみましょう。

動画:リーク試験:検査プログラムを実行する①
動画:リーク試験:検査プログラムを実行する②
動画:リーク試験:検査プログラムを実行する③

ポイントのまとめ

  • DCPOWERでサンプルプログラムを検索し、検査プログラムの検討を行う。
  • サンプルプログラムを改造して検査プログラムを作成する。
  • 実際の試験では、信号ピンをマトリクススイッチで切り替えて検査するためピン数に合わせたマトリクススイッチを実装し、合わせてマトリクススイッチのプログラムも作成する。

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