温度・通信・電気特性を「同期制御」する次世代評価システム
ペリテックが提案する、Emerson T&M / NIプラットフォーム統合型 高速自動温度特性評価システムの全貌

半導体・車載ECU・センサデバイスの評価において、「温度特性試験に時間がかかりすぎる」、「温度変化の瞬間に起きた不具合を取り逃がす」、「DUTごとに専用機器を用意するコストが膨らむ」、といった課題を抱えていないでしょうか。
ペリテックが提案する統合型温度特性評価システムは、従来バラバラに運用されていた「温度制御」「通信評価」「電気計測」の3領域を、単一のプラットフォーム上でμsレベルに同期。試験の抜本的な高速化と、これまで見えていなかった故障モードの可視化を同時に実現します。
従来の評価システムが抱える限界
デバイスの温度特性評価に欠かせない従来の試験構成は、恒温槽・通信評価装置・電気特性測定器という複数の独立した装置で成り立っています。それぞれの装置は優れた性能を持ちながらも、「組み合わせて使う」ことで必然的に発生する課題があります。
課題1. 恒温槽の熱慣性による試験時間の長さ
恒温槽は槽内の空気を介してDUTを加熱・冷却するため、目標温度への昇温と安定待機に多くの時間を要します。複数の温度ポイントにわたる評価では、温度が安定するまでの待機が試験全体の大部分を占めてしまいます。
現場の声
「温度が安定するまで待つ時間が、試験全体の大半を占めている。温度ステップのたびに手が止まってしまう」(半導体評価部門・エンジニア談)
課題2. 瞬間的な不具合の「取り逃がし」
温度が遷移する過渡状態のごく短い時間に発生する通信エラーやリーク電流の異常は、ポーリング
計測では原理的に捕捉できません。温度と電気特性・通信結果をそれぞれ別のタイムラインで記録す
るため、「このエラーは正確に何℃のときに発生したか」を事後に紐付けることも困難です。
課題3. 通信仕様ごとの専用機器コスト
SPI・I2C・SENT・PSI5・独自プロトコルなど、DUT の通信仕様に対応するために専用機器を都度購入すると、機器コストが積み重なります。さらに仕様変更のたびに機器が陳腐化し、カスタム通信や独自プロトコルには市場に対応製品が存在しないケースも少なくありません。
ソリューション概要:3領域を1システムに統合
本システムは、ペリテックが持つペルチェ直接温度制御技術と、Emerson Test & Measurement / NI(National Instruments)の PXI・FPGA ベース計測プラットフォームを融合。さらにテクノアルファグループのFA・搬送技術による装置化対応を組み合わせた、設計から量産まで一気通貫のソリューションです。
| 計測・制御(NI) | PXI SMU(超微小電流計測)、FPGA / Real-Time モジュール |
| ソフトウェア (ペリテック) | LabVIEW(統合制御・可視化)、TestStand(シーケンス管理・レポート生成) |
| 装置化 (テクノアルファ) | 自動搬送システム、多点並列試験治具、MES連携モジュール |
ペリテックのコア技術
このシステムを他に類を見ないソリューションたらしめているのは、ペリテックが長年にわたって培ってきた複数の技術的柱の組み合わせです。それぞれが解決する課題と、もたらすメリットを詳しく見ていきましょう。
1. 完全同期制御
解決する課題
従来、温度制御・通信評価・電気計測は別々の装置が別々のクロックで動作しており、「今この温度のとき、どのコマンドを送信していたとき、どれだけの電流が流れていたか」を正確に対応付けることができませんでした。
各装置の「今」がズレているため、温度遷移の瞬間に起きた一過性の異常が取り逃がされ続けていました。
FPGAによる共通タイムスタンプ
本システムでは、FPGAが生成する共通タイムスタンプを基準に、通信(SPI等)・温度フィードバック・電気計測トリガを同期駆動します。これにより全データに統一された時間軸が与えられ、温度・通信・電気の3軸相関を完全に分析できます。
- 温度遷移中に発生する極めて短時間のグリッチ・通信エラーを取り逃がしなく記録
- 温度×通信×電流の3軸相関分析で故障モード特定を大幅に加速
- どの温度帯域で動作が保証できるかを定量的に証明可能
2. 恒温槽レス高速評価
ペルチェ直接接種の仕組み
ペルチェ素子をDUTに直接接触させ、電流方向の切り替えだけで加熱と冷却を瞬時に切り替えます。DUT直近に配置した温度センサからのフィードバックをFPGAが高速処理するため、熱慣性の大きな恒温槽では実現できなかった高速温度追従が可能になります。
恒温槽との比較
| 比較項目 | 恒温槽方式 | ペルチェ直接制御 |
|---|---|---|
| 温度遷移速度 | 低速(熱慣性の制約) | 高速(直接制御) |
| 安定待機時間 | 各ステップで長時間待機 | 大幅に短縮 |
| 複数点評価の合計時間 | 長時間 | 飛躍的に短縮 |
| 温度プロファイル制御 | 困難(熱慣性の制約) | 自由に設計可能 |
| 設置スペース | 大(槽本体が大型) | 小(ヘッド部のみ) |
3. 決定論リアルタイム制御
解決する課題
WindowsベースのPCで制御を行うと、OSのタスクスケジューラにより制御ジッタが発生します。その結果、PIDゲインを高めると制御が不安定になり、長時間試験では温度ドリフトや誤動作のリスクが蓄積します。計測値が「本当に目標温度での値か」を保証できない問題も生じます。
Real-Time OS + FPGA 二層アーキテクチャ
- FPGA層:通信プロトコル処理・高速ADC/DAC制御・ハードウェアタイミング生成
- Real-Time OS層:PID温度制御の確定実行保証・データロギング(ドロップなし)
「決定論的」とは、「一定時間後に必ずこの処理が完了する」という時間保証のことを指します。この保証により、PIDゲインを最大限に引き上げながら高い安定性を維持し、長期連続試験でも制御精度が劣化しません。ISO 26262等の安全規格対応試験装置の要件も満足します。
4. 通信の自由度
解決する課題
DUTの通信仕様に合わせて専用テスタを都度購入すると、機器コストが積み重なります。さらに独自プロトコルには市場に対応製品が存在せず、「受注できない案件」が発生するという競争上の損失も生じています。
対応プロトコル(FPGA実装)
| カテゴリ | 対応プロトコル | 主な用途 |
|---|---|---|
| 標準通信 | SPI、I2C、UART | 汎用センサ・マイコン通信 |
| 車載・センサ系 | SENT、PSI5、PWM通信、シリアルセンサIF | 圧力・温度・ポジションセンサ |
| カスタム通信 | LVDS、パラレルバス、独自プロトコル | 高速画像転送・カスタムIC |
ペリテックの強み
物理ハードは共通の一台。通信仕様の追加・変更はHDLの修正のみで対応可能。他社が「対応不可」と判断した案件でも、FPGAで通信を設計できるペリテックなら受注できます。
5. 装置化対応
解決する課題
従来、評価装置と量産ラインは別物として設計されていたため、評価で確立した試験条件を量産テスタに「翻訳」する工程が必要でした。この翻訳工程で条件がわずかにズレ、品質問題の温床になることも少なくありませんでした。
段階的な展開
- R&D評価
- ペリテックの計測ユニット + LabVIEW制御でデバイス評価を実施
- パイロットライン
- 自動搬送ユニット・多点並列試験治具を追加。LabVIEW/TestStandのソフト資産をそのまま継承
- 量産ライン統合
- MES連携・自動合否判定・NG品排出・トレーサビリティ管理を追加し、フルライン化
同一プラットフォームで展開するため、評価条件がそのまま量産基準に直結します。全DUTの温度・通信・電気データがDBに自動蓄積され、品質トレーサビリティを確保。ペリテックの計測・制御技術とテクノアルファのFA・搬送技術を組み合わせたワンストップ納品が可能です。
主な適用分野
半導体デバイス

- SiC / GaN デバイス評価
- リーク電流測定
- スイッチング特性測定
車載ECU・センサ

- SPI センサ評価
- SENT通信検証
- 温度マージン試験
センサ・IoT

- 温度補正データ書き込み
- 自動キャリブレーション
研究開発

- 新規通信プロトコル評価
- カスタムIC検証
